冬のボーナスを支払う岐阜県の中小企業・建設業者の経理・総務担当者向けに、賞与から差し引く所得税(源泉徴収税額)の計算方法を解説します。国税庁の令和8年分の源泉徴収税額表にもとづき、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の使い方と、例外の計算方法を整理します。
賞与の源泉徴収の基本
賞与にかかる所得税は、毎月の給与とは別の方法で計算します。基本は、前月の給与の金額と扶養親族等の数から「算出率の表」で税率を求め、賞与の金額に掛ける方法です。
使う欄は、従業員が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているかどうかで決まります。提出していれば甲欄、提出していなければ乙欄です。この記事では甲欄を例に説明します。乙欄の計算はこの記事の範囲外ですので、国税庁の税額表でご確認ください。
扶養親族等の数の数え方
甲欄では、次の数を合計します。
- 源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の数
- 本人が障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生のいずれかに当たる場合は、該当ごとに1人加算
- 同一生計配偶者や扶養親族に障害者などがいる場合は、該当ごとに1人加算
通常の計算手順(前月に給与があり、賞与が前月給与の10倍以内)
次の順番で計算します。
- 前月の給与から、社会保険料等(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など)を差し引いた金額を求めます。
- 賞与からも、社会保険料等を差し引きます。
- 算出率の表(甲欄)で、1の金額と扶養親族等の数が交わる行を探し、「賞与の金額に乗ずべき率」を確認します。
- 2の金額に3の率を掛けます。1円未満は切り捨てます。
国税庁が示す令和8年分の例は次のとおりです。
- 前月の給与(社会保険料等控除後):285,454円
- 賞与(社会保険料等控除後):389,558円
- 扶養親族等:3人
- 該当する率:2.042%
- 税額:389,558円 × 2.042% = 7,954円
賞与の社会保険料については、当サイトの冬のボーナスの社会保険料の記事で解説しています。
月額表を使う例外の計算
次のどちらかに当たる場合は、算出率の表ではなく、月額表を使って計算します。
- 前月に給与の支払がない場合
- 賞与の金額が、前月の給与(社会保険料等控除後)の10倍を超える場合
なお、計算期間が6か月を超える賞与の場合は、以下の式の「6」を「12」に置き換えます。
前月に給与の支払がない場合
- 賞与(社会保険料等控除後)を6で割ります(端数は切り捨て)。
- 1の金額を月額表(甲欄)に当てはめて税額を求めます。
- 2の税額に6を掛けます。
国税庁の例では、賞与769,300円、扶養親族等0人の場合、769,300円 ÷ 6 = 128,216円、月額表の税額は1,300円で、1,300円 × 6 = 7,800円です。
賞与が前月給与の10倍を超える場合
- 賞与(社会保険料等控除後)を6で割ります(端数は切り捨て)。
- 1の金額に、前月の給与(社会保険料等控除後)を加えます。
- 2の金額を月額表(甲欄)に当てはめて、税額を求めます。
- 3の税額から、前月の給与に対する月額表の税額を引きます。
- 4の額に6を掛けます。
国税庁の例では、前月給与166,531円、賞与1,668,062円、扶養親族等1人の場合、税額は87,540円です。
| 区分 | 計算に使う表 |
|---|---|
| 前月に給与があり、賞与が前月給与の10倍以内 | 算出率の表 |
| 前月に給与がない | 月額表 |
| 賞与が前月給与の10倍を超える | 月額表 |
計算するときの注意点
- 令和7年分以前の給与等には、令和8年分の税額表は使えません。
- 令和9年分以後は、算出率の表や月額表が改正されます。毎年、最新の表を確認しましょう。
- 12月の年末調整との関係など、年間の精算の詳しい扱いは、国税庁の案内で確認してください。
具体例で確認する
岐阜県の小さな建設会社で、前月の給与(社会保険料等控除後)が約28万円、扶養親族等が3人の従業員に、冬のボーナスを支払う場面を考えます。前月に給与があり、賞与が前月給与の10倍以内であれば、算出率の表を使う通常の計算になります。国税庁の例のとおり、率が2.042%、賞与(社会保険料等控除後)が389,558円なら、税額は7,954円です。
一方、入社したばかりで前月に給与の支払がない従業員に賞与を払う場合は、月額表を使う計算に切り替えます。
計算前のチェックリスト
- 従業員ごとに、甲欄か乙欄かを確認したか
- 扶養控除等申告書の内容から、扶養親族等の数を数えたか
- 前月の給与と賞与の両方から、社会保険料等を差し引いたか
- 前月に給与の支払があるか、賞与が前月給与の10倍を超えていないかを確認したか
- 令和8年分の税額表を使っているか
よくある質問
Q1. 賞与の額から社会保険料を引く前の金額で計算してよいですか。
いいえ。国税庁の案内では、社会保険料等を差し引いた後の金額で計算します。前月の給与も同様です。
Q2. 計算期間が6か月を超える賞与は、どう計算しますか。
月額表を使う計算では、式の「6」を「12」に置き換えます。
まとめ
- 賞与の源泉徴収は、前月の給与と扶養親族等の数から、算出率の表で税率を求めるのが基本です。
- 賞与も前月の給与も、社会保険料等を差し引いた後の金額で計算します。
- 前月に給与がない場合と、賞与が前月給与の10倍を超える場合は、月額表を使います。
- 令和8年分の税額表を使い、毎年の改正を確認します。
判断に迷うときは、社会保険労務士や税理士などの専門家、または所轄の税務署に相談しましょう。
※本記事は令和8年10月26日時点の情報です。最新の取扱いは、国税庁の案内でご確認ください。
参考
- 国税庁 タックスアンサー No.2523「賞与に対する源泉徴収」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2523.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2511(扶養親族等の数の数え方など) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2511.htm
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/01.htm


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