岐阜県内で従業員を雇う中小企業の経営者・総務担当者に向けて、令和7年4月1日から義務になった介護離職防止のための措置を解説します。育児・介護休業法の改正で、事業主に求められている内容です。自社の対応を点検するためにお使いください。
令和7年4月から義務になった3つのこと
令和6年の育児・介護休業法の改正により、介護に関して事業主に次の3つが義務付けられました。厚生労働省の「育児・介護休業法について」のページでも、この3点が示されています。
- 介護に直面した労働者への、個別の制度周知と意向確認
- 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
- 介護離職を防ぐための雇用環境の整備
会社の規模にかかわらず、自社の対応状況を確認しておきましょう。
1. 個別の周知と意向確認
労働者から「家族の介護に直面した」という申出があったときに、会社から制度を知らせ、利用の意向を確認する義務です。
- 方法:面談、書面の交付、FAX、電子メール等のいずれか。FAXと電子メール等は、労働者が希望した場合に限られます。面談はオンラインでも行えます。
- 周知する事項:介護休業や介護両立支援制度等の内容、申出先(例:人事部)、介護休業給付に関すること
- 対象となる制度:介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等の措置など
注意したいのは、取得や利用を控えさせるような形での周知や確認は、義務を果たしたことにならない点です。申出を思いとどまらせる言い方や、取得した例がないことを強調する対応は避けましょう。
2. 40歳等での早期の情報提供
介護に直面する前の段階で、制度を知ってもらうための義務です。時期は、次のどちらかを選べます。
- 労働者が40歳に達する日(誕生日の前日)の属する年度(1年間)
- 労働者が40歳に達した日の翌日(誕生日)から1年間
方法と提供する事項は、1の個別周知と同じです。あわせて、介護保険制度についても知らせることが望ましいとされています。
3. 雇用環境の整備
介護休業や介護両立支援制度を使いやすくするため、次のいずれかの措置を講じる必要があります。複数の措置を行うことが望ましいとされています。
- 研修の実施(全労働者が対象であることが望ましいですが、少なくとも管理職は受けた状態にします)
- 相談窓口の設置や、相談対応者の配置と周知
- 自社の取得事例の収集と、労働者への提供
- 取得促進に関する事業主の方針の周知
自社の点検リスト
次の項目を、今日から確認してみましょう。
- [ ] 介護の申出があったときの、対応の流れを決めている
- [ ] 周知する内容(制度、申出先、給付)を書面にまとめている
- [ ] 40歳になる従業員を把握し、情報提供の時期を管理している
- [ ] 研修や相談窓口など、雇用環境の整備を少なくとも1つは実施している
- [ ] 就業規則・育児介護休業規程が、法改正に対応している
就業規則と社内の周知も忘れずに
制度の内容は、就業規則や育児介護休業規程に定めておくと、従業員にも分かりやすくなります。申出の窓口(担当者)を決め、社内に知らせておくことも大切です。
介護は、突然始まることが多いものです。申出があってから慌てないよう、あらかじめ書面のひな形や面談の進め方を用意しておきましょう。
助成金も活用できます
介護と仕事の両立支援に取り組む中小企業には、両立支援等助成金の介護離職防止支援コースがあります。内容は、当サイトの両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の記事で解説しています。
岐阜県の中小企業での対応イメージ
たとえば、従業員30人ほどの岐阜県内の事業所を想定します。45歳の従業員から「親の介護が始まった」と相談があった場合、総務担当者は、次の順で対応します。
- 面談の日程を決める(オンラインも可能です)
- 介護休業や介護休暇などの制度、申出先、介護休業給付について説明する
- 利用の意向を確認する。ただし、利用を控えさせるような言い方はしない
- 説明した内容と日付を、記録に残す
また、毎年度の初めに、その年度に40歳になる従業員の名簿を作り、情報提供の漏れを防ぐ方法もあります。
よくある質問
Q. 40歳の従業員全員に、面談を行う必要がありますか。
A. 方法は、面談、書面の交付、FAX、電子メール等のいずれかです。FAXと電子メール等は、労働者が希望した場合に限られます。
Q. 個別周知のときに、介護の状況を詳しく聞く必要がありますか。
A. 厚生労働省の資料では、周知の事項は制度の内容、申出先、介護休業給付に関することとされています。プライバシーに配慮し、必要以上に聞かないようにしましょう。
Q. 雇用環境の整備は、何をすればよいですか。
A. 研修の実施、相談窓口の設置、取得事例の提供、方針の周知のいずれかを行います。中小企業では、相談窓口を決めて社内に知らせる方法から始めるとよいでしょう。
まとめ
- 令和7年4月1日から、個別の周知・意向確認、40歳等での情報提供、雇用環境の整備が義務になっている
- 個別周知は、介護に直面した旨の申出があったときに行う
- 40歳での情報提供は、誕生日の前日の属する年度、または誕生日の翌日から1年間のどちらかで行う
- 取得を控えさせるような対応は、義務を果たしたことにならない
- 判断に迷うときは、社会保険労務士などの専門家や、岐阜労働局などの窓口に相談しましょう。
※本記事は令和7年4月に施行された内容を、令和8年10月26日時点の情報でまとめたものです。最新の取扱いは、厚生労働省・岐阜労働局の案内でご確認ください。
参考
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
- 厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001479922.pdf
- 東京労働局「介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002078216.pdf



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